極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
岡崎の顔を見たせいで嫌な思い出が蘇ったけれど、今の陽奈子には忘れるべき過去。せっかく貴行に素敵な店に連れてきてもらったのだ。惑わされる必要はない。
「大丈夫か?」
貴行に優しく聞かれ、笑顔で応える。
その後はコース料理を堪能。夜景は綺麗だし、料理は目も舌も満足させられた。
最後にエスプレッソを飲み終えた陽奈子は、貴行を残してレストルームに立つ。
岡崎がいると知ったときこそどんよりとなったムードは、その後楽しく過ごすことができた。
それも貴行の気遣いのおかげ。もしもひとりだったら、もっと憂鬱な気分にさせられただろう。
そうして軽くメイクを直してレストルームを出たときだった。
忌々しい顏と鉢合わせして、足止めを余儀なくされる。
「倉沢くんじゃないか。こんなところで奇遇だなぁ」
岡崎だったのだ。まるで、自分のしたことも覚えていないような口ぶりだ。