極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

岡崎の顔を見たせいで嫌な思い出が蘇ったけれど、今の陽奈子には忘れるべき過去。せっかく貴行に素敵な店に連れてきてもらったのだ。惑わされる必要はない。


「大丈夫か?」


貴行に優しく聞かれ、笑顔で応える。

その後はコース料理を堪能。夜景は綺麗だし、料理は目も舌も満足させられた。
最後にエスプレッソを飲み終えた陽奈子は、貴行を残してレストルームに立つ。

岡崎がいると知ったときこそどんよりとなったムードは、その後楽しく過ごすことができた。
それも貴行の気遣いのおかげ。もしもひとりだったら、もっと憂鬱な気分にさせられただろう。

そうして軽くメイクを直してレストルームを出たときだった。
忌々しい顏と鉢合わせして、足止めを余儀なくされる。


「倉沢くんじゃないか。こんなところで奇遇だなぁ」


岡崎だったのだ。まるで、自分のしたことも覚えていないような口ぶりだ。

< 187 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop