極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

貴行は胸もとからゆっくりと出した名刺を岡崎に差し出した。

岡崎はひったくるようにそれを取ると、煩わしいといった様子でため息をつきながら目を落とす。大した会社の名刺でもないくせにと、心の声が聞こえるようだ。

ところが、フンと鼻を鳴らしながら一度見た名刺を、今度は顔の近くでまで持っていき食い入るように見る。


「ツキシマ海運? ……しゃ、社長!?」


荒げた声が店内へ続く通路に響き渡った。
名刺と貴行本人を交互に見比べ、肩を激しく上下させる。恐れおののいたような顔は、慌てることのない優雅な貴行の振る舞いとは対照的だ。


「システムティービズさんに構築いただいたセキュリティシステムですが、あまりにも脆弱なため取引を控えさせていただこうと考えていたところでした」


岡崎は、勢いよく吸い込んだ空気で喉をひゅっと鳴らす。


「ちょっ、ちょっと待ってくれ。……いや、待っていただけませんか」

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