極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

女性は頬を赤く染めながら彼の手を取り、何度もお礼を繰り返す。


「そうだわ。よかったら、お礼にお茶でも飲んでいったらどうかしら? そちらのあなたもご一緒に。ね? ぜひそうして」


陽奈子にまで誘いの声がかかる。いきなりの展開に戸惑っていると、

「せっかくですが、これから人と会う約束をしていますのでお気持ちだけいただいておきます」

彼の口から流暢な英語が出てきた。発音もネイティブ並みに綺麗だ。


「あらそう、残念ね……。あなたは?」


今度は陽奈子に矛先が向けられる。


「えっと、そうですね……」


実はオープントップバスの市内観光を予約しているため、お茶をする時間はとれそうにない。でも、男に断られて少なからず落ち込んでいる女性に対して、続けざまに断りを入れるのは申し訳ない気持ちになる。

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