極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
少しくらいならなんとかなるかなと思った矢先。
「無理ならはっきりそう言ったほうがいい」
彼が日本語でこっそりアドバイスする。
「なにか予定があるんだろう? それなら遠慮する必要はない」
「……そう、ですね」
確かに彼の言う通りだ。彼女とのお茶はマルタ島の話をいろいろ聞けて楽しそうだけれど、それではバスに乗り遅れる可能性もある。
(ここは心を鬼にしてお断りしよう)
時間の限られた旅行なのだ。自分を勇気づけて口を開く。
「ごめんなさい。私もこのあと予定があるんです」
女性にはっきりと告げた。
「そう。それじゃ仕方ないわね……。ともかくふたりとも本当にありがとう。もしも時間ができたら、ぜひ寄ってちょうだいね」