極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
(私がこの人にするお礼……?)
なにを言っているのかわからずポカンとする。
「そこで食事でもしよう」
いきなりの誘いに目は点になり、鼓動はドクンと弾んだ。
(食事って、私と? お礼ってことは……)
「心配するな。ご馳走しろと言っているわけじゃない」
陽奈子の心を見透かしたように続ける。
「えっ、ちょっ……」
「それじゃ、また夜に」
「えっ、えっ、あのっ」
わけがわからない。呼び止めようと途切れ途切れに声をかけたものの、男は華麗に身を翻した。長い足でどんどん遠ざかっていく。
「なになに、どうして?」
完全に置き去りにされ、ひとり言が口をつく。