極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「そんな……。それは彼に対して、あまりにも失礼です」
思わず反論する。
誰でもよかったなんて言うものではない。
早紀に恋していた彼がかわいそうだ。
「陽奈子ちゃんには私の気持ちはわからないでしょうね」
「わかりません。結婚がダメになったのは同情しますが、そのあとのことはなにもかもわかりません」
当てつけのようにツキシマ海運にハッキングしたり、情報を得るために気持ちを偽って恋人を作ったり。
まるで復讐のような行為は、褒められたものではない。
早紀は陽奈子の言葉に「やっぱりね」と鼻を鳴らした。
「コーヒーでもいれるわ」
早紀がキッチンに向かう。その隙にスマートフォンを、と思ったが早紀に先回りをされて奪われた。
しばらくして戻った早紀は、ふたつのカップをテーブルに置く。