極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

ソファを勧められて素直に応じ、早紀の向かいに座った。


「ハッキングも全然うまくいかないの。セキュリティをかいくぐっていい線までいくんだけど、あるところまで到達すると意味のない情報ばかり読まされて」


それはそうだろう。簡単に突破できたら大変なことになる。


「あんまりグスグズしていると足がついちゃうから、私もそろそろ限界かなって。だからやり方を変えたの。陽奈子ちゃんを連れ去るって形にね」


そこまで言ってから、早紀はコーヒーに口をつけた。
ターゲットを陽奈子にしたというのは、そういう意味だったのか。


「陽奈子ちゃんもどうぞ」
「……ありがとうございます」


すんなりカップを手に取った陽奈子を、早紀が笑う。

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