極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
マルタへ来て三日。高級そうな雰囲気のため遠目で敬遠していた店は、入口に立てかけられたメニュー表の値段にも敷居の高さが現れていた。
(私の格好、平気かな……)
ドレスコードがふと気になり、自分の姿をざっと眺める。
陽奈子が着ているのは、コットンの白いワンピース。
(一応ワンピースではあるけど……)
もしも入店を断られたら、そのときに手立てを考えよう。
場違いな気持ちでおそるおそる足を踏み入れる。控えめな照明の店内は、気品のある空気が立ち込めている。来ることが伝わっていたのか、すぐにスタッフが陽奈子を案内した。
男はテーブルの上に悠然と手を組み、陽奈子を見て口角だけ器用に上げる。
昼間デニムを履いたラフなスタイルは、ネクタイ姿にチェンジしていた。薄いブルーのクレリックシャツにストライプ柄のネクタイがこなれた印象だ。
ナチュラルにしていた髪は両サイドを整髪料で固め、さらに男らしさが増している。昨日や今朝とのギャップに不本意にもドキッとさせられた。