極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

『私の名前は〝お人好しさん〟じゃないです』と彼に言ったのはたしか。

陽奈子が言葉に詰まっていると、彼はニヤリという笑みを浮かべた。

(なんて人なの……!)


「では貴行さん」


名前部分を強調して呼びなおす。


「私たちはまだ知り合ったばかりですので、名前を呼び捨てにされるのは避けていただければと思います」


毅然と言ったつもりでも、気の弱さは隠しきれない。ところどころ声が小さくなった。


「それなら陽奈子も貴行と呼べばいい」
「六つも年上の人を呼び捨てになんて」
「ほら」


二本の指をパチンと鳴らして貴行がしてやったりといった顔をする。そんな表情すら決まるのは、本当に悔しい。

ところで、なにが『ほら』なのか。陽奈子は目をまばたかせる。

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