極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「はぁ……」


深いため息をつきながらベッドに仰向けになった。

とそのとき、部屋の電話がチリリンと音を立てる。
ビクッとして飛び上がった陽奈子は、その勢いのままベッドサイドの受話器を持ち上げた。

決して電話を待っていたわけではない。そうではないと、何度も自分の行動を否定する。


「ハロー」


声が震えたのは、弾むように飛び起きたせいだ。


『陽奈子、今から下のプールサイドのバーに来られないか?』


貴行だった。
お待ちかねの、では決してない。


「プ、プールサイドのバーですか?」
『フロントの前を通り過ぎた先に中庭に出る扉がある』


ホテルの公式ホームページに、素敵なプールが掲載されていたのを思い出した。

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