極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「おいしい」
思わず感想を漏らすと、「そんなに気に入ったのか」と貴行がクスッと笑う。
「自分用のお土産に買っていきたいくらいです」
「そうしたらいい」
貴行はそう言うなり再び店員を呼び、なんとそのワインを三本持ってこさせた。
ここでわざわざ買わなくとも空港で買えるからと言っても、いっこうに引く気がない。
「空港になかったらどうするんだ」
そう言われて返す言葉もない。
「青の洞門に付き合ってくれた礼だ。受け取れ」
上から目線に聞こえなくもないけれど、その気持ちはうれしい。陽奈子はありがたくいただくことにした。
「夕方、ロビーで見かけた男性はお仕事関係ですか?」