極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

詮索するつもりはなくても、ほかに話題が見つけられない。


「俺の幼馴染。彼に仕事を依頼するためにここに来たんだ」
「そうなんですね」
「気を悪くしなかったか?」


会ったときに彼が不躾な言葉を投げかけたことを指しているのだろう。


「ちょっとびっくりはしましたけど大丈夫です」
「アイツ、思ったことがそのまんま口から出てくるタイプなんだ」
「似たもの同士なんですね」


つい正直に言うと、貴行からじとっと湿気を含んだ目を向けられた。


「あ、いえ、つまりその……嘘をつけないタイプなんですね」


なんとかうまい言葉を見つけられてホッとする。
自分もなかなかやるじゃないかと誇らしい。
貴行はフフンと鼻を鳴らし、ワインに口をつけた。

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