極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「陽奈子はいつまでこっちに?」
「明日の朝の便で日本に帰ります」
もう少し滞在していたいけれど、仕事もあるし金銭面の心配もある。
「貴行さんは?」
「俺は明後日の朝」
「そうですか」
マルタで迎える夜も今夜が最後。そう思うと、やけにしんみりとしてくる。
貴行とも、これっきり会うことはないだろう。
そう考えると同時に、胸に鈍い痛みが走った気がした。
それを飲み込む勢いでワインを口にする。妙な感情は飲み干してしまったほうがいい。
そのときふと風がプールサイドに吹きつけ、なにかがふわりと浮かんだのが目に入る。
「あっ……!」
持ち主らしき外国人が隣のテーブルで声を上げる。
反射的に立ち上がった陽奈子は、風に乗ったそれを追いかけた。