極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
陽奈子は小刻みにうなずいて答え、急いで居住まいを正した。
とたんに緊張が押し寄せてくる。
(ど、どうしよう。緊張しちゃうな……)
心の準備が整っていない段階でいきなり相手と対面になるとは。
(おじさんかな。それとも、それを通り越しておじいさんかな)
まだ見ぬ相手をほんの数十秒の間に妄想する。
心臓はドクドクと異様なスピードで動いていた。
「どうぞお入りください」
未恵の声のあとに続き、相手の声が聞こえてくる。
「ありがとうございます」
声だけ聞いているぶんには若そうだけれど、なにしろ緊張しているため顔を上げられない。
陽奈子の向かいの席に現れた相手を俯きがちに見た。
初夏にふさわしいライトグレーのスーツにブルー系のシャツ。ネイビーのネクタイは白のドット柄だ。