極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
声だけでなく格好からしても若い。大企業の御曹司というワンランク上の雰囲気も放っている。
隣に座っている萌々から「嘘でしょ……」と小さな声が漏れた。
萌々も今日が初対面らしい。
でも、なにがどう嘘なのだろうか。
声や格好に見合わずご老体なのか。はたまたその逆で、大学生くらいの年齢なのか。
「月島さんから見て左側が陽奈子です」
「ひ、陽奈子です。初めまして」
未恵に紹介されて、急いで頭を下げる。
「初めまして、陽奈子さん。月島貴行です」
ゆっくりと頭を上げていく途中で、覚えのある名前が耳に届いた。
(〝貴行〟? ……こんなところで同じ名前の人と会うなんて)
ゆっくり目線を上げていった陽奈子は、相手の顔をとらえたところで身動きを封じ込められた。
(た、たた……貴行さん!?)
目を見開き、口は半開き。幽霊でも見たような感覚だった。