ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
休み明けの授業というのは、なんだか休み気分が抜けなくて、どこか非現実的な感覚になるのは私だけだろうか。


黒染めした髪が赤っぽかったりスカートの裾が少しだけ短くなったり、そんな小さな反抗がきらきらして見える。


私も髪を切ってみたけれど、変じゃなければいいなと思いつつ、三神くんの横を通ろうとした時、不意に三神くんが私の左手首を掴んだ。


「……ぇ」


「未琴、俺も勉強教えて」


未琴!?


なぜ下の名前!?


ていうか寝てたんじゃ……!?


腕に頭を乗せたままこちらを見上げる三神くんの目に、体温が一気に上昇する。


窓から入り込んでくる光が、三神くんの明るい茶色の髪の1本1本を透かして、まるで蜂蜜みたいだ。


時間が止まってしまったように、周りの音が何も聞こえなくなる。
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