ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
「三神くん、寝ないで下さい。今日中に提出するんでしょ」


「……」


「Zマークで返事しないで」


困ったことに、もう15分も前からこんな感じだ。


三神くんは授業中も寝ているから、逆にいつ起きているのか謎だ。


やっぱり夜中に友達と遊んだりしてるのかしら。


煌びやかな世界に身を染めた三神くんを想像して、なんだか少し遠く感じてしまう。


いけないいけないと頭を振って、三神くんの腕を突っついた。


「コーヒー飴いる?」


「くれんの?」


やっと三神くん頭が起きる。


よしよし、これはチャンスかもしれない。


私は猫に餌をやるが如く、ポーチから取り出したコーヒー飴を三神くんの手の上に乗せた。


「これ食べたら頑張ってね」


「いいんちょー、俺、やればできる子ですから」


三神くんはそう言うと、シャーペンをくるりと回して笑った。
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