ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
何事かと腰を上げれば、三神くんが篠宮くんの椅子を机の下で蹴っていた。


篠宮くんはしばし呆然。


そしてはた、と意識を取り戻し、「何すんだバカヤロー」と三神くんに牙を剥いた。


「……悪い。長ぇ足が当たった」


言い訳にしては不十分な弁解で、三神くんはいそいそと足を戻す。


私は首を傾げながら腰を下ろし、篠宮くんも舌打ちをして私の横に椅子を戻した。


その瞬間──


ガンッ


再び机が揺れ、篠宮くんが椅子から転がり落ちる。


「……悪ぃ」


「三神くん、あまりにも足癖が悪いですよ……」


「なんなの……?お前俺に恨みでもあんの……?」


三神くんは答えず、自分も理由が分かりませんとばかりに、首を捻ってみせた。


いやいや、こっちが聞きたいよ。


篠宮くんのジト目から不自然に視線を逸らす三神くん。


私も篠宮くんに参戦すれば、三神くんは観念したように口を開いた。
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