ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)



LHR開始のチャイムが鳴って教室に戻ると、三神くんの席は空っぽだった。


最近はテスト対策のために、少なくとも午後の授業は出席していたはずだ。


相変わらず寝ていることの方が多かったけれど、来ないよりは欠席が付かないからマシだ。


あわよくば軌道に乗ってくれたら、と思っていたのだけれど。


左の視界に空いた空間が、少し寂しい。


「ホームルーム始めるから席つけー。……あれ、そこの席休みだっけ?」


扉を開けて入ってきた志谷先生が、教室をざっと見渡して尋ねる。


「そこ三神っす。サボりじゃないっすか」


「ふーん」


クラスメイトの1人が答えると、志谷先生は適当に相槌を打ち、手元の資料に目を落とした。


いつものことだから、深く追求したりはしない。
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