ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)
「でも、あの、この後補講もテストもないですよね?三神くんと篠宮くんはもう挽回できないということでしょうか」


休み明けテストは今日の午前で終わってしまったし、恐らく2人とも夢の中だったから望みは薄い。


こんなに楽しみにしてるのに、挽回できるチャンスがないと、このままでは不参加が確定してしまう。


「だから今のところっつってるだろ。1週間後課題の中から簡単なテスト作ってやるから、それで8割取れたら行っていい」


「8割!?」


「あ?課題提出しなかったんだ、当たり前だろ。救済処置作ってやるだけありがたいと思え。なぁ、篠宮くん?」


にっこり。


志谷先生は冷ややかな微笑みを顔に張りつけた。


着任した時はそこかしこで黄色い声が聞こえるほど人気だったのに、志谷先生はその期待に応えるつもりはさらさらないみたいだ。


過去、女生徒に絡まれたせいで痴話喧嘩に巻き込まれ、男子生徒に殴られるという大騒動に発展したのがきっかけで、生徒と絡むのは極力避けるようになったらしい。


なんというか、とても不憫な先生だ。


志谷先生は「じゃ、頑張れよ」と軽く手を振ると、教室を出ていってしまう。
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