Love Eater Ⅲ



色々と時雨に対しては思うところも惜しむ心もある。

それでも悲しむべき死ではないともわかっている。

だからこそ、百夜もソルトもこれ以上哀愁に浸り続けるつもりもないのだ。

それに、ソルトには捨て置けない問題がすぐ隣にあるわけで。

今も隣の寝室からはぐすぐすと鼻をすすりながら「ソルトの馬鹿っ」「ソルトのヘタレっ」と呪うような六花の声音が聞こえてくる。

しかも、何やら枕が投げつけられたような音まで。

『泣きたいのはこっちだ』と重苦しい溜息を吐きながら項垂れながら。

「本当さぁ…マジで今後無暗矢鱈俺ん家に六花送り込むのやめてくんねえかなぁっ?」

『おや、可愛い恋人が甲斐甲斐しくも看病に来てくれたんだ。素直に身を預けてお世話されたらいいじゃないか』

「アホかっ!お世話されるどころかしちまうだろって話なんだよっ!!俺の理性だって完璧じゃねえってのっ!それでなくともあいつと付き合ってからどんだけ溜め込んで…」

『わかったわかった。じゃあ爺が一つ与太話をしてやろうか?』

「はっ?なに……与太……」

『イーターはね、相手の魔力を食らうんだよ』

「………知ってるけど?はっ?それが何だって…」

『抱合するときなんかは特に…、無意識にね』

「………」

『魔物の雄が相手を孕ませんとする魔の気までね』

「………」

『よっぽどでない限りイーターの雌がほかの種の魔物の子を孕むなんてこと無いんだよ』

ゴトンッ___。

百夜が結論を言うや否やそんな鈍い音が響いたのは当然。

それを予測していたように百夜もさっさと耳から携帯を遠ざけていたのだが。


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