Love Eater Ⅲ
「で、場所の目星はついたが俺はどうしたらいい?」
「ああ、それならなんて事ない。僕がリッくんを招き入れればいい話だ」
問うや否や、クスリと笑う百夜の指先がするりとソルトの手を絡めとり。
ソルトの双眸がふわりと漂う煙管の紫煙を間近で捉えた直後には一瞬目の前が眩めいて。
更に次の瞬間には仄暗くも妙に心地のいい場所に1人で立っていたのだ。
どこだ?なんて今更思わない。
過敏な嗅覚が何よりも早くそこがどこかを理解している。
「百夜の中ってやつか…」
「そういう事だね」
ソルトがポツリと結論を弾いた刹那、背後から百夜の声が響き振り返れば煙りのようにふわりとその姿が浮き上がる。
まさに掴み所のない百夜そのもの。
「ここは僕の意識下。今ここにいるリッくんも意識体でしかない」
「ってことは、本体は、」
「また診察台でおねんね中だよ。それで、六花のいると思われる場所なんだが、」
「ああ、心配ない。…こっちだ」
百夜に促されるまでもない。
濃度の高い百夜の匂いの中、僅かながらに異色な甘い匂いがする。
六花の匂い。