Love Eater Ⅲ
それを辿ればいいのだと徐に足を踏み出したのだが、直後には背後から百夜の指先に捕まり引き止めており。
「多分、六花の意識があるのは僕の無意識下だと思うんだ」
「無意識下?」
「そう、無意識。だから今まで自分では気づけなかった。今だって全くわからないし、もっと言えば僕はそこへは入り込めない」
「そうなのか?」
「申し訳ないけどね。だから、僕がリッくんを引導できるのはここまで。ここからは本当に君に託すしかない」
ついていけたらと思うのだ。
いつも通りの飄々さを見せていても内心は決して平常心とは言えない百夜である。
全て自分達の過去の過ちから。
だからこそ出来る全てを自分の手で精算しなければとも思っている。
それでもそれが叶わぬ今の現状は実に歯がゆく申し訳ない。
そんな百夜の心情はソルトにもひしひしと伝わっていて。
「任された。安心しろ、若さと勢いでお前が動くより早く六花を連れ戻してきてやんよ」
「フッ…、じゃあ…ついでにもう一つ頼んでいいかな?」
「おう、」
「……もし花鳥に会ったら、馬鹿女…そう言っといてくれ」
「自分の女に随分と冷たい事で」
「フフッ、いいんだよ。それに…花鳥はきっと喜んで微笑むだろうさ」
まるでその姿を捉えてるかのように。
百夜の眼差しはここにない姿を捉えながら控えめな笑みを浮かべるのだ。