推しが私に噛みつきました。







「ひーさのさん」



……パニック、寸前です。



部活が終わって、昇降口に行ったら、守賀先輩がいたのです。



「俺、多分……久野さんにひとめぼれしちゃったんだ」



なんで、名前を知っているのでしょうか。それに……。



「ひとめ、ぼれ、ですが……?私なんかに?」



思わず、本音がぽろぽろ。



「だって、私は、可愛くなくて、冴えなくて。かっこいいところもないし、性格も良くなくて。あと……」



悪いところは、ポンポンと浮かぶのです。



「……でも、久野さんのオーラに惚れたよ」



「惚れ……」



「好きになったってこと」



それは、わかるんですけど……私に惚れる意味がわからないんです。



「部長さんから、名前を聞いたことがあるんだ。期待の新人がいるって話をしてもらって」



「期待の……新人」



その言葉にぱあっと心が明るくなりました。
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