晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
「俺さ、晶のことがほんとにどうしようも
 ないくらい好きなんだよ。
 だから、晶のことは、純粋に、好きで
 かわいくて愛しくてたまらない…そんな
 気持ちで抱きたい。
 ……だけど、今日は、今日だけは、きっと、
 あいつの顔がちらつく気がするんだ。
 それはきっと、晶も同じだと思う。
 俺は、晶にも俺と同じくらいは無理だと
 しても、ちゃんと俺のことを好きになって
 欲しい。
 だから、付き合ってるから… じゃなくて、
 お互いにお互いのことを好きだと思えた
 時にそういう関係になれれば…と思う。
 ごめんな。
 いい年して変に理想ばかりで。」

そう言って私の頭を撫でる課長の手は、とても大きくて、温かくて、優しくて…

私、大事にされてるんだ… って思えた。

「じゃあ、また明日。
 道具とか何もいらないけど、動ける服装だけ
 用意しておいて。」

そう言って、課長は、私を抱きしめた腕を解いて立ち去ろうとする。

私は、慌てて立ち上がった。

玄関まで課長についていき、衝動的にそのシャツの背中を摘んだ。

「晶?」

怪訝そうな表情で課長は振り返る。

「あ… 」

私は慌ててシャツを掴んだその手を離した。

課長を見られなくて俯く私の頬を、課長は両手で包み込むようにして上を向かせた。

「晶、好きだよ。」

その言葉とともに、温かくて柔らかなものが前髪の上から触れた。

キス… された?

「じゃ、また明日。」

戸惑って固まる私を残して、課長は帰っていった。


さっきの… おでこの… キス… だよね?

キャーーー!!

私は、そのままベッドにダイブし、一人でバタバタとのたうち回った。
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