晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】
「智也。
 智也は、雪菜を愛してないから、結婚も
 うまくいかなかったんだよね?
 だったら、私も智也を愛してないから、
 絶対にうまくいかないよ。
 だから、ごめん。
 諦めて。」

智也は驚いたように瞠目する。

「そんなはずない。
 晶は俺を愛してくれてた。
 結婚したいって思うくらい、愛して
 くれてた。
 だろ?」

「ごめん。
 それは、半年前まで。
 雪菜との事を知って、龍と付き合うように
 なって、私の中で、智也とのことは、全部
 終わったの。
 私が今、愛してるのは、龍だけ。
 だから、ごめん。
 もう、会いに来ないで。
 そっとしておいて。」

私がそう言うと、龍は私の肩を抱いて言った。

「そういうことだから。
 君も、過去に縛られるのはやめて、前に
 進みなさい。」

そのまま、龍は私を促して、駅へと足を向けた。

10メートルほど歩いた所で、足音が聞こえて振り返った。

駆け寄ってくる智也の手には、光るものが握られている。

「っ!! 龍!!」

叫んだ私を庇うように、龍は向きを変えた。

龍が刺された!!

そう思った。

けれど……

次の瞬間、龍は手にしていたブリーフケースを振り上げ、智也の頬目掛けて斜めに振り下ろしていた。

衝撃に耐えきれずに、地面に倒れこんだ智也。

背中かどこかを地面に打ち付けたのか、微かな呻き声を上げて、動けずにいる。
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