15年目の小さな試練
 そして、月曜日。

 何だか、とても暖かくて幸せだなぁ……そう思いながら、朝、目を覚ますと、隣にはカナがいた。

 そこにあったのは、一週間ぶりのカナのぬくもりだった。

 思わず、目を何度も瞬かせて、身体をそちらに向けると、カナはわたしをゆるく抱きしめて、

「おはよう、ハル」

 そう言った。

「おかえりなさい」

 そのままギュッと抱き付くと、

「ただいま」

 と言いながら、カナはわたしの頭を抱え込み、そっとなでてくれた。

 それから、額にキスをされて、頬にキスをされて、最後に唇を合わせて、また抱き合う。

 幸せで幸せで、心がほっこりとあたたまる。

 自分の中の欠けていた部分が埋まったみたいで、どこかに吹いていたすきま風がなくなったみたいで……。

 カナと結婚して、もうすぐ十ヶ月。

 こんなにもカナに依存している自分に驚いてしまう。

 カナのぬくもりを堪能していると、

 ピピピピッ

 目覚ましのアラームが鳴り、カナがスッと手を伸ばして止めた。

 そうだ。今日は月曜日……学校の日だ。

 名残惜しいと思いながらも、ふと、まだ朝のあいさつをしていないのを思い出して、顔を上げて、

「……おはよう、カナ」

 そう言うと、カナは満面の笑顔で、もう一度、

「おはよう、ハル」

 と言った後で、優しくわたしを抱きしめてくれた。
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