15年目の小さな試練
 て訳で、弁当を食べながらの淳の話が一段落。

「……で、なにか? 一言でいうと、指導できる人間がいないから、手伝いに来い、と」

「そうそう」

 今まで教えてくれてた先輩がみんな就活とか資格試験とか実習とかで来られなくなるとか、今年は初心者ばっかりたくさん入って手に余るとか、そんなん、オレに関係ある?

 いやそもそも、淳だって入部したばかりだろ? そんな運営部分なんて、来れなくなった上級生が考えることなんじゃないの?

「むーりー」

「週一でいいから! お願い! 叶太、道場じゃ教えてるじゃん」

 昔からお世話になってる道場の方でなら、有段者が子どもとか初心者・中級者に教えるのは当然だと思ってる。
 だけど、まるで縁のない大学の部活で教えるなんて、とてもやる気になれない。

 そもそも大学の部活って、流派とかどうなってんの?
 試合だったら、色んなところのが来ると思うけど、道場によって、型とか少しずつ違うだろ? まったくの初心者ならともかく、よそで少し習ってるとか言われたら、教えようがない。

 そんな面倒を考えたら、とても気軽に引き受けるなんて無理。

 何より、ハルとの時間を減らす気は、オレにはない。土日に行くことが多い道場だって、ハルの事を想うと若干後ろ髪を引かれるのに。

「淳がいれば十分だろ?」

「いや、足りないから声かけてるんだし」

 淳もオレと同じで黒帯。それに、試合にも出て結構いい成績取ってるし、わざわざオレが行く必要を感じない。
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