15年目の小さな試練
 わたしは最初の課題を提出した時にもらった課題までは、みんなと同じだったけど、その2つ目の課題を提出する時から、一人分厚い別の課題を渡されるようになった。

「一回目の課題の出来が素晴らしかったの。ちょっと難しいかも知れないけど、あなたならきっとできると思って。頑張ってみて?」

 山野先生はにこりと笑って、一回目の課題を返すと同時に、十枚つづりの課題を渡してくれた。返されたレポートには「AAA+」と書かれていた。

「……ルちゃん、ハルちゃん」

 晃太くんの声に我に返る。

「……あ、ごめんなさい!」

「大丈夫? 疲れちゃったよね?」

 心配そうに覗き込まれながら、首を左右に振る。

「ううん。平気。ごめんね」

「いや、俺はいいんだけど」

 ただ、物思いにふけっていただけなのに、晃太くんはわたしのおでこに手をやった。

「熱はないみたいだけど、今日はもう寝た方が……」

「あの! ただ考え事してただけだから!」

 慌てて言うと、晃太くんは「あっ」と言って何度か瞬きした。

「そっか。ごめんね。俺がずっとこれ見てたから、退屈だったよね」

 それから、晃太くんはスッと真顔になった。

「ハルちゃん、これ、大変じゃない?」

「課題? ううん。面白いけど」

 確かに考えることはいっぱいあるけど、課題自体は面白い。

 正直、最初にもらった単純な課題より、枚数が増えた3回目以降の課題の方が、読んでいても、解答を書いていても楽しい。
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