15年目の小さな試練
「……正直、オレには訳わかんない感じなんだけど、やっぱり難しい?」

 量は確かに、同じ一回の課題とは思えないくらいで、オレがもらってるものの数倍の量。信じられないくらい多いと思う。ただ、ハルは毎回、きっちりと提出していて、新しくもらう度に増えているから、難易度が上がると同時に量も増えるんだなと思っていた。

「ああ、俺が出されたんだとしてもおかしくないんじゃないかな」

「え、そんなに難しいの!?」

 院生の兄貴が解くような問題って、どんなんだよ。オレたち、二ヶ月前に入学したばっかりだぞ!?

 オレの声が結構大きかったのか、兄貴は

「いや、さすがに俺は普通に解けるけどな?」

 と少し慌てたように言った。
 その言葉に少しほっとする。

「……だよね」

「だけど、こんなハイペースで行ったら、夏休み前には院生が頭を悩ませるような課題に入るんじゃないかな」

「……そんなに?」

 でも、ハル、楽しそうにしてるんだよな。

 無理できない身体で、高校時代は先生たちもかなりハルには気を使っていた。宿題だってできなければ無理はしなくていいって、いつも言われていた。

 今、山野先生の授業ではそういう手加減がないのを、ハルは喜んでいる節すらある。ちなみに他の授業でも、高校時代みたいな気遣いはないけど、ハルは難なくこなしているから、まったく問題ない。

「まあ、さ、大丈夫そうなら別に良いんだ。ただ、ちょっと求められてるレベルが高すぎて、驚いて」

 だよね。
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