15年目の小さな試練
「ハルちゃん、俺が一緒に行くのは嫌?」

 カナじゃなくて、晃太くんが?

 さっきも聞いてくれたよね。

 晃太くんと山野先生のところに行くことをイメージしてみる。不思議とカナの時のような抵抗感が沸かなかった。

「……ううん」

 そう答えると、

「ハル!?」

 わたしの返事を聞いて、カナが信じられないという顔をする。

「なんで!?」

 晃太くんは気の毒そう、かつ面白そうにカナを見る。

 そんなにおかしいかな?

「だって、……カナは同い年でしょう? だから、カナを保護者として連れて行くのはなんか違う気がするんだもの」

 わたしの言葉を聞いてカナは眉を下げる。

「そんなの気にするなよ!」

「……気になるんだもん」

「夫はダメで、なんで兄貴ならいいの!」

「……晃太くんは、先輩で大人で、大学卒業してるし」

「まだ大学にいるじゃん」

「……院生だよ? 先生のお手伝いもしてる人だよ?」

 絶望的な顔でカナが晃太くんを見た。

「まあ、任せとけ」

「兄貴~!」

「ハルちゃんが一人で行くって言うよりはいいだろ?」

 その言葉に、カナはがっくり肩を落とした。
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