15年目の小さな試練
 ハルちゃんを送っていった後、自分の教室に駆け込みで入る。
 ギリギリセーフ。隣の棟で助かった。

 ハルちゃんはちゃんと誤解を解けただろうか?

 そう思うと、また笑いがこみ上げてくる。

「広瀬? なんか面白いことでもあった?」

「いや、別に」

「……絶対ウソだろ、それ」

 そんなに顔に出てるかな? うーん、出てるか。

「いやさ、面白いって言うか」

 言いながら、また顔がほころぶ。

 ああそっか、ちょうどいい。

「聞きたい?」

「聞きたい」

「じゃあお願い。昼休み、二人分席取っといてくれる?」

「ん? いいけど、二人分?」

 そこまで話したところで先生が入ってきたので会話は終了。
 ハルちゃんを迎えに行ってからだと食堂の席が心配だったけど、これで安心だ。
 複数ある食堂やカフェのどこかは空いてるだろうけど、ハルちゃんをあちこち連れ歩くのはNGだろう。


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