同期は蓋を開けたら溺愛でした

 すると「おはようございます」と声をかけられて心臓が止まるかと思った。
 大友がタイミングよく現れたから。

 噂をすれば、なんとやらってやつ?

 ドキドキする鼓動を感じながら大友を仰ぎ見ると、大友は私ではなく増永さんを見据えている。

 射抜くような視線を浴びる増永さんは苦笑して私へ告げる。

「ま、一度くらい食事に行ってよ。他を見る目も大切だよ」

 増永さんも増永さんだ。
 何も大友がいる前で言わなくてもいいものを。

 穏やかな風貌を装った食わせ者らしい仕打ち。
 私たちの間柄をかき回したい意地悪な魂胆が見え隠れする。

 文句をぶつけたくても、エレベーターが来てしまって流れに押されて乗り込んだ。

 3人で、すぐ近くに立つエレベーターはどことなく居心地が悪い。
 エレベーターでは何も話せずに無言で到着を待つしかなかった。

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