同期は蓋を開けたら溺愛でした
打ち合わせが進み、一息ついた時。
大友がポツリと呟いた。
「行くのか」
唐突に聞かれ、何の話をしているのか理解が追いつかない。
「何が」
「増永さんとの食事」
「へ?」
朝、エレベーターを降りた後も今までも何も言われなかったから、てっきり気にしていないとばかり思っていたのに。
時間差で聞かれて間抜けな声が出てしまった。
「行くなよ」
手を握られ、強い眼差しで見つめられてたじろぐ。
「今、ここ、か、会社だよ?」
「だからなんだよ」
「……大友?」
なんだか様子がおかしくて不安な声が出る。
だって、さすがに就業時間中にこんな話をするなんて今までなかった。
私の不安げな視線から逃れるように手を離してそっぽを向く。
それからこちらに向き直ると「このインクは……」と仕事の話に戻り、安堵した。
いくら増永さんに意地悪な言い方されたからって。
あんな、嫉妬してるような素振り……。
食事に行くくらいで?
大友の態度を不可解に思いつつ、それからはいつも通りだっため、特に気にも止めなかった。