同期は蓋を開けたら溺愛でした
片付けをしていると大友がこちらを見ている気配を感じて体を固くする。
「青木……」
「青木さん」
大友が全て言い終わる前に営業の増永さんに声をかけられ、増永さんはわざわざ大友に「青木さん、ちょっと借りるね」と断っている。
別に大友は私の保護者ではないですよ。
と、突っ込みたくなって、そうだよ。私たちの関係は保護者と子どもみたいなものだ。
そんな着地点を見つけ、目からウロコが落ちた気分になる。
大友は「借りるね」と言われた手前、一緒に残ることはせず、会議室を出て行った。
「青木さん?」
ぼんやりしていたみたいで再び名前を呼ばれ、慌てて我に返る。
「あ、はい。すみません。考え事してて」
増永さんは確か2つ上の柔和な先輩。
でも、ただの穏やかな人ではない食わせ者でキレ者。
優しい口調のまま、企画した商品をバッサバッサと切っていくと有名だ。
私もこの人に何度やり込められたか。
しかも全てが正論の上に、彼に認められればヒット間違いなしという本当かよくわからない噂がまことしやかに流れている。
「なんだか、様子がいつもと違ったから心配になって。僕が質問するといつもなら元気な回答がもらえるのに、今日は上の空じゃなかった?」
それは大友のせいなんです。とは言えない。
何より公私混同して恥ずかしい。
「すみません。以後、気をつけます」