同期は蓋を開けたら溺愛でした

 洗面所に移動して、恥ずかしく思いながらも浴衣に身を包んでふと気づく。

「ねえ、荷物を社員旅行の方の部屋に……」

 洗面所から顔を出した私に、なにが? と、言わんばかりに私の旅行鞄と自身の鞄を指し示されて息をつく。

「なんだ。取りに行ってくれたんだ」

「いや、俺のは課長経由で仲居さんが。恵麻のはお前と同じ部屋の後輩が渡してくれたらしい」

「ここにいるの、バレてないよね?」

「さあ。どうだろう」

 意地悪な顔をする大友は「よそ事を考えられるなんて余裕なんだな」と私に歩み寄って、噛み付くようにキスをした。

「あ、の、大友?」

「ふーん。大友って呼ぶんだ」

「待って。ねえ、雄……」

 名前を呼び直しても、大友は欲情を隠そうとしない。

「もういいよな。何もしないで恵麻を抱いて寝るのは、飽き飽きしてるんだけど」

 布団の上に移動する大友に手招きされ、ドキドキしながら近くに座る。

「キスからして、今日もゆっくり溶かそうか」

 甘く言われ、小さく頷いた。

< 303 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop