同期は蓋を開けたら溺愛でした

「どうした」

「なにも」

 柔らかな白いカップの湖面に視線を落とし、リラックスしに来たのだからと自分へ言い聞かせる。

「方向性が決まってるなら大丈夫」

「そう、かな」

 あとちょっとの光が見えなくて、堂々巡りをして仄暗いトンネルから抜け出せずにいる。

 私は大友に言うでもなく、頭に思い浮かんでいることを話し始めた。

「姪っ子がさ。小学生になって」

「ああ。あの、お前が作る文房具が大好きだって言う可愛い姪っ子ね」

 そうなのだ。

 姉の子どもの沙良ちゃんはいつも「恵麻ちゃんの可愛いペン好きー。シールも可愛いー」と私が手掛けたペンやマスキングテープを愛用してくれている。

 その姿が可愛くて嬉しくて。
 いつも勝手に励ましてもらっている。

「手先が器用な子だから、ハサミを使うのも上手で。次はカッターを使いたいって言われたけど、さすがに危ないからさー。笑顔でいいよ、とは言ってあげられなくて」

 だから小さな子でも安全に楽しく使えるカッターを考えたい。

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