同期は蓋を開けたら溺愛でした
「ホッチキスでカバとかワニの可愛いのがあるじゃない?」
「ああ」
カバーだと指摘するのを諦めたのか、大友は大人しく私の走らせるペンの行方を見守っている。
「その可愛いホッチキスを挟むところに紙を入れて、軽く押すと上から針ではなくカッターの刃が出るの」
「おい、声のボリューム」
苦笑しながら、大友は自分の口元に指を当てる。
アイディアが出ると興奮するのがわかってて、原田課長は大友をお供にしたんだろうか。
それとも大友と息抜きをすれば、行き詰まっているのが解消されるってわかっていたのか。
きっと、どちらも正解だ。
「ほら。もう悩んでたトンネルは抜けたろ。あとは席で静かに熟考するぞ」
ニッと白い歯を見せる大友が伝票をつかんでレジへと向かう。
「あ、払う。私に付き合ってもらったんだし」
慌てて席を立つと、大友は伝票をヒラヒラさせて楽しそうに言う。
「今のそれ、ヒットしそうな気がするから、その時に盛大に奢ってもらう」
「気が早いよ」
そう言いつつ嬉しい。
久々に頭の中に、わぁーっとアイディアが溢れている。
早く構想を固めたい。
はやる気持ちでカフェを後にした。