同期は蓋を開けたら溺愛でした
着替えや自分のパソコンを一旦取りに帰った私は、大友のアパートの前でインターフォンを押す。
<はい>
「私」
<ああ。今、手が離せないから勝手に上がって>
ほとんど独身男性しか借りないのか、インターフォンに今どき珍しくカメラがついていない。
危なくないのかなって思うけど、勧誘の人もインターフォンを押して出てきたのが大柄の強面なら尻尾を巻いて退散するかも。
そんな想像をしながらドアを開ける。
部屋からはいい匂いがして、鍵を閉めて上がる。
「やったー。今日はハンバーグなんだ」
ボウルで挽肉をこねている大友が「ああ、今日は特別だからな」と私を甘やかすような台詞を言う。
いい匂いは野菜スープかな。
やっぱりマメなんだよね。大友って。