同期は蓋を開けたら溺愛でした

 いい匂いに誘われ、お腹がグーッと音を立てる。
 ハンバーグの焼ける香ばしい香りが鼻をくすぐる。

「ほら、食べるぞ」

「ん」

 のそのそと体を動かし、パソコンやアイディア帳を片付ける。
 それでも頭の半分はまだ、空想の世界と現実の世界を行き来して、ぼんやりと白昼夢のような状態。

「俺のシャツ、着ればよかったのに」

「ん」

「彼シャツ。俺の服をぶかぶかに着るから萌える」

「ん。……は?」

 大友に似合わない変な発言のせいで、完全に覚醒して鼓動が速まっていくのを感じる。

 彼って、萌えって……。

 頬づえをついた大友がふてくされた声を出した。

「あんまりに俺を見ないから、意地悪言いたくなっただけ」

 こういう時はたまにあったのに、今までこんな拗ねるような台詞を言われた経験はない。

「ごめん、上の空だったのは認める。でも、いつも通りって言ったの、そっち」

「ああ」

 私は突然鼓動を速めさせられて、言動が飛躍する。

「誘われても断った方がいいなら、断る」

「馬鹿を言うな」

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