同期は蓋を開けたら溺愛でした
「寂しん坊の恵麻ちゃんはこういう時、1人じゃいられないんだろ」
頭をグリグリされ、いつも通りの大友に安堵しつつ、反論する。
「恵麻ちゃん呼ばわりしないで。そういう雄ちゃんはヨチヨチ歩きですけど、1人でお家まで帰れるんですかね」
そもそも、こういう時って振られた時?
寂しん坊も何も、大友が落とした爆弾のせいで、そんなのどこかに吹き飛んだ。
「雄って呼べよ。俺も恵麻って呼ぶ」
いつも通りだったはずが、すぐに雲行きは怪しくなる。
「恋人じゃあるまいし」
「2人の時はいいだろ?」
再び醸し出されそうな甘い雰囲気を察し、早々に退散する。
「今日は帰るってば」
酔っ払いの戯言だとは思うけど、さっきに今で、アパートに行って、しかも泊まるなんてあり得ない。
「ばーか。寄ってけよ。気がない奴に手を出すほど飢えちゃいない」
今までは、泊まれるくらい男女としてなかったわけで。
「それとも警戒してんの?」
意地悪な顔でけしかけてくる大友につい、いつもの口調で返す。
「そ、そんなわけない! 行ってやろうじゃないの」