同期は蓋を開けたら溺愛でした
「で、俺がなんだって?」
「いや、今度の文房具フェスに出す企画、何か考えたかなって」
実用的なものから、見た目の可愛さまで。
さまざまな角度から日の目を見るようになった文房具。
文具女子なんて言葉が出てくるくらい、文房具が脚光を浴びている。
企業向けにも、一般向けにも、あらゆる文房具メーカーが一堂に会して開かれる祭典。
最新の文房具のお披露目会でもある文房具フェス。
私たちが勤める木森文房具からも出展し、そこに出す新しい商品を企画する時期だ。
大友は私の質問を軽くいなすように笑う。
「俺、敵に塩を送るほど、お人好しじゃないぞ」
「敵じゃないでしょ。味方でしょ!」
むくれる私に大友は笑う。
「ま、戦友?」
そこから次に流行るのはこんな文房具だ! という話を延々とし続けるいつもの光景となった。
私はいわゆるキラキラ可愛い、雑貨屋さんに置いてあるような文房具が好きで、大友は実用的で便利機能が備わっている文房具を企画するのが得意。
得意分野は違えど、こんな文房具の濃い話、大友とくらいしか出来ない。
なんだかんだいつも通りの夜を過ごし、知らぬ間に、けれど気分よく眠りについた。