ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
ややあって、先程のナオヤの問いに何とか答えを提出した。

「あたし、ずっとここが夢なんだと思っていました。自分の夢の中にいるんだって」

自分の中を整理しながら、自分にも言い含みつつ、言葉を選る。

「でも、違う。こんなのあたしの夢じゃない」

ナオヤはあたしの前で胡坐を組み、真摯に耳を傾けている。

「創手の部屋で、人形になったヒメを見ました」

あたしは彼の端整な眼差しに影が差し、金の光が散々に乱れていく様を見守った。

「彼女が仲間と一緒になって、創手を陥れようとした報いだとか」

自分から、あたしは足を踏み入れようとしていた。

ずっと、これは夢だと誤魔化し、全てを遣り過ごしていた。本当のことを知るのが怖くて逃避していた。

でも、それでは駄目だと思った。現実としてこの世界を捉えなければ、正面から向き合わねばならない。

このどこか狂った、残酷な程に美しい世界と。

「あたしが来る前、一体何があったんですか?」
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