ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
常に自尊心をくすぐられたいサトウは、そもそも自分こそがリーダーに相応しいと思い込んでいたとか。

根拠のない自信に裏打ちされてリーダー選に立候補するも、ヒメの圧倒的支持率に敵うべくもなく、彼は屈辱に塗れた。

鼻をへし折られたサトウは腹いせに創手側に寝返ったのだ。

情報を漏洩し、仲間に背信しながら、随分長い間誰にも嗅ぎ取られずにいたということは、スパイの才能はあったようだ。

あたしはその実説を、一言も聞き逃すまいと耳を欹てていた。

「ある意味、創手よりも憎むべき相手はサトウかもな」
とはゴローの談だ。

「あいつは今じゃロックスターだとよ。奇想天外な格好しやがって、あれがまた流行るから世の中どうかしている」

「……なるほど」グルーピーに囲われ、ご満悦のディランを思い浮かべる。

「彼は、その、自分はナオヤさんの親友だったとか言っていましたが」

それを聞くなり、ナオヤは苦虫を一千匹も噛み潰してしまったかのような、不愉快極まりない顔をした。

あたしは小さくなり、言わなきゃ良かったと後悔した。

「ふん、親友が聞いて呆れるわ」とシノブが謗る。
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