ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
「返り討ちにあった俺らは無力でな。残ったメンバー4人ではとてもじゃねえが敵地になど踏み込めなかった。リーダーのヒメは創手の手に落ちて、ナオヤも教会の地下に呪縛されて。何度かナオヤを救出しに向かったが創手の呪いがこれまた厄介でよ。教会に近づくだけで背中のぜんまいが軋んじまうんだ。こう、何て言うか悲鳴を上げたくなるくらいにさ。おお、やだやだ」

その感覚を思い出したのか、ルークは少しぶるっていた。

「創手の目から逃れて、俺らはあの洞窟のアジトで細々とした生活を余儀なくされたんだ。そしたらある日突然、ナオヤが帰ってきたからびっくりさ。しかもぜんまいのないお嬢さんを連れて。二重に仰天したね」

ゴローが欧米人みたいに両手を広げる。

「たぶんだが、ぜんまいがない黒谷には、創手の呪いが通用しなかったんだろうな」

シノブがゴローの言葉を引き継ぐ。

「黒ちゃんが連れ去られてからね、このアジトに引越ししたのよ。緊急時の避難場所は世界中にあるからあたし達は身軽に移動出来るしね。それから作戦を練った訳。聖都城の周囲は厳重な警備が布かれているけど、上は手薄だってことがある程度分かっていたわ。そこで辺境警備隊の基地からヘリを強奪し、空から黒ちゃんを救出する作戦に出たって流れよ。月の光のない、新月の夜を狙ってね」
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