ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
あたしはびくびくしながら是認した。
「すみません、イチゴの魅惑に負けて、つい」
「直ぐに近衛部隊に連絡せねば」
アンソニーはあたしの弁解を黙殺した。その態度に胸騒ぎがした。
「あの、部隊って、あたし、どうなるのでしょう?」
「聖都の近衛部隊に連行されるだろう。直ちに裁判が開かれ、君は死刑だ」
「死?」
耳を疑った。たかがイチゴ泥棒で死刑になるのか。そんなべらぼうな。
「冗談ですよね?」
あたしは気安い口調で訊いたが、アンソニーは剣呑な顔でこちらを見ただけだった。