ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

広場に煤けた赤色の胴体に、鉛色のプロペラが二つ前後に付いた大型ヘリが着陸している。

周囲に赤い軍服を着た兵隊がいた。

赤い上着に、赤いラインの入った黒ズボン、金の飾りの付いた帽子という格好だ。

あれが近衛部隊だろうか。何だかおもちゃの兵隊みたいだ。

しかし彼らが肩から掛けている銃を見て取り、自分の呑気な第一印象を撤回した。

自転車置き場の陰に潜伏し、泥人間が脱出の機会を窺っている。

その間あたしは泥人間をまじまじと至近距離から観察した。

土に固まったような髪と服、人間と大差ない手足、そして背中にはやはりぜんまいが生えている。

土塗れのぜんまいに触ってみたい衝動に駆られる。

人差し指を伸ばそうとしていたところで、泥人間がこちらに注意を向けた。

直ぐ様手を引っ込める。

「今だ」

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