ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
黄色の古めかしいトラックが路上駐車されている。荷台部分にクレーンの付いた業務用の車のようだった。
背中を丸めながら泥人間はそこに向かった。あくまで取り敢えず、あたしは付いて行った。
泥人間は足元の平たい石を拾い、慣れた手付きで窓ガラスを打破すると、ドアロックを解除し、運転席に押し入る。
あたしはその一挙一動を傍観していた。
これは器物破損と窃盗罪だ。イチゴ泥棒で死刑だと宣告されたのに、車なんて盗んだ日には――。
「乗れ」という泥人間の声があたしの黙考を破る。
「頼むから、早くしてくれ」
ヘリの飛行音が後方から聞こえた。
「あわわわ……」
あたしは大急ぎで助手席に乗り込んだ。