ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

元サーファー風のゴローと、ポニーテールのシノブはどうやら恋人同士のようだった。

いつも寄り添うように一緒にいたし、一緒にいると楽しそうにしていた。

ゴローがあたしに何事か話し掛けると、シノブはあからさまに不機嫌になった。

止せばいいものを、軽いノリのゴローはよくあたしにちょっかいを出してきた。

「ねえねえ」といい年した大人なのに、子供のような口調で肩を叩いてくる。

「何でしょう? ……ん?」

振り向きざまに、頬を人差し指でぷにっと突っつかれる。

その現場は必ずと言っていい程、シノブに押さえられた。

彼女はプリプリしながら自分の部屋に取って返し、ゴローは「シノブちゃ~ん」と言いながら追い掛ける。

それの繰り返し。

単に、彼女に妬かれたいだけなのだろう。何ともねんごろだ。

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