ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し

階段の手摺りの所で、シノブが髪の毛をポニーテールに結んでいた。うなじに一筋残った後れ毛が色っぽい。

久方ぶりに女の子同士の会話がしたくなった。

「あの、訊いてもいいでしょうか?」

「何? くろたん(黒ちゃん=あたしのこと)」シノブは口にゴムを咥えたまま、くぐもった声で応答した。

「どれくらいの頻度でお互いのぜんまいを巻くのですか?」

シノブは頬を赤らめつつ「毎日」と惚気た。

なるほど納得した。

あたしは大体三、四日に一度くらいの割合でナオヤのぜんまいを巻いていた。

巻く頻度は愛情の程度に比例するのかもしれない。

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